自動車分野におけるリユースの推進において、中古部品と共に重要な位置を占めるのがリビルト部品である。
一般に「中古・リビルト部品」と一体となって呼ばれる事が多いので、この2つは親戚のように感じるが、調べてみると別の業態から出てきたものだ。
中古部品は廃車の解体過程を主な発生源とする。中古部品商は解体事業者の中から、国内市場向け中古部品販売に特化した事業者が中心となっている。
一方、リビルト部品は廃車から回収される事もあるが、ディーラーや整備工場のサービス工場からも発生する。リビルトシュー、リビルトクラッチは、地域のリビルダーが交換部品を「コア」として回収し摩擦材を張り替えたものである。
電装品は地域の電装店が、整備工場から持ち込まれた故障品を現品修理したり、リンク品がある場合は、これを使うことで納期のスピード化を図っている。
エンジン、ミッション、ドライブシャフト、パワーステアリングポンプなどの機能部品はリビルダーがインナーパーツなど消耗部品を新品に交換して商品化している。この分野は地域において部品メーカーのサービスセンターを委託されている業者もあれば、独自にインナーパーツを製造して組み込んでいる独立系業者もある。
また、自動車メーカーや部品メーカーが純正のインナーパーツを組み込むリマン(リ・マニュファクチャリング)もある。
◎リビルト部品の可能性は?
わが国では車両の平均使用年数は約 年と諸外国と比べて短く、廃車から消耗の進んでいない「良い状態の中古部品」が得られる環境にある。
このため、わが国ではリサイクルパーツの利用において、中古部品がリビルト部品より先行してきた。一方、米国においては大規模な「コア」回収ルートが形成されており、リビルト部品が補修用機能部品の中心となっている。
しかし、わが国の保有車両の平均車齢も年々伸びており、これに対応してリビルト部品の市場が拡大しているといわれる。特にリビルト部品は新品並みの品質保証を付けて販売する例が多く、新品部品の流通ルートに載りやすいという特徴がある。最近は地域部品商がリビルダーより仕入れたリビルト部品を手広く販売する例も増えており、品目によっては市場競争の激化で一挙に低価格化が進んだ分野もある。
今後、部販・共販など自動車メーカールートのリサイクル部品販売が増加してくると予想されるが、新品部品の流通ルートを逆流させることで、コアの回収が可能になることからリビルト部品への取り組みが増えて来ると予想される。これは、整備工場等からの廃棄部品の減量を図る意味からも重要だ
現在、わが国のリビルト部品の市場規模は、民間の調査会社が約 億円と推計しているが、確かなところは分かっていない。自動車メーカールートのリビルト部品も大きな市場ボリュームを持っており、これを加えたら、かなりの額になると推定される。
リビルト部品は多様な事業者が係わっているが未だに業界横断の団体が無い。今後、補修部品市場でリビルト部品の地位向上を図り、利用を促進するためには、まず市場実態の把握から取り組まねばならない。
(編集長・白柳孝夫)