アフターマーケットの景気は、一昨年頃より回復の兆しが見えている。
しかし、個別に眺めると景気の良い企業もあれば、相変わらず水面下の企業もある。さらに、調子の良い企業も、それがいつまでも持続する訳ではない。水面下の企業も、チャンスを掴めば一挙に浮上する。もはや全ての企業にとって景気が良かったり、悪かったりする時代ではないのだ。こうした時代には、市場をどのように捉えるかが重要になる。
アフターマーケットは新車販売動向の影響を大きく受ける。
表1は03年と04年の新車販売動向であるが、新車販売総台数は変化がないが、普通乗用車が対前年比10%と2桁増になっている。また、軽乗用車は同6%と伸びているものの、小型乗用車は同7%減である。
一方、保有台数であるが、ここ数年はほとんど変化がない。しかし、その内容は大きく変化している。
表2は5年前の 99年末と04年末の保有台数を比較したものだ。普通乗用車が329万台増加し、小型乗用車が281万台減少している。普通と小型の合計では48万台の増加になる。これに加えて軽乗用車が436万台も増加した。
即ち、登録乗用車は「小型乗用車」から、より高級な「普通乗用車」にシフトし、さらに増車されている。これに加えて女性の行動範囲が広がり軽自動車の保有台数が急激に増えている(女性の運転免許保有率の増加と一世帯複数保有の進展)。
これは乗用車のアフターマーケットビジネスを展開する上では好条件が揃ったと言える。
高級車ユーザーには付加価値の高い用品の提案販売が可能であるし、軽自動車ユーザーには、気軽に立ち寄れるサービスショップでのピットサービスメニューの充実や、利便性の高い各種アクセサリーの販売が可能である。ところがアフターマーケットの現場を見ると、残念ながら市場の変化に対応した取組みは未だに低調である。
ここ数年、市販の自動車用品市場は低迷傾向にある。カーナビゲーション市場の急速な伸びに支えられ、なんとか現状を維持しているものの、他の商品群はいずれも苦戦している。
一方、ユーザーにとって利用しやすいメンテナンス・ショップも、様々な実験は行なわれているものの決定版が出てこない。
規制緩和で点検項目が減少した車検整備の安売り競争はエスカレートする一方で、メンテナンス不足による故障整備が増加している。
一方で全国的にGSSは減少し、電球の玉切れなどのトラブルで対応してくれる便利で親切なサービス拠点も減少しているのである。
米国のクイックルブのような業態が日本では成功しないのは何故か?欧米に多い故障診断やチューニング・ショップ(車両が販売された時のオリジナルの状態に戻す)が、増えないのは何故か?本気で検討すべき時代に来ていると思うのだが。
(編集長・白柳孝夫)