低年式車両の点検・整備の推進


わが国の保有車両は、この10年で平均車齢と平均使用年数が急速に伸びた。
先頃、自動車検査登録情報協会が発表した08年3月末日の登録乗用車の平均車齢は7・23年、平均使用年数は11・67年と過去最高を更新した。
車齢11年を越える登録乗用車は1159万台、登録貨物車は280万台あり、これをあわせた1439万台は、登録車保有台数の30%となる。これだけ低年式車の比率が高くなるとは、10年前には誰も想像しなかったと思われる。
自動車の保有が10年を超えると様々な部品が劣化・消耗してくる。整備工場では法定の定期点検項目をチェックし、必要な部品を交換するだけでなく、それ以外の部分もチェックして、ユーザーの理解を得ながら、必要な整備、部品交換を行う必要が出てくる。
こうした中で、日整連では9月〜10月にかけて実施した自動車点検整備推進強化月間の機会を捉え低年式車両の点検・整備の推進活動を実施した。
◆日整連
低年式車両の車両故障を未然に防ぎ、安全性を確保する上で最も重要になることは定期点検整備の実施と消耗部品及び劣化部品の状態を点検し、必要な場合は適時交換することである。
そのために自動車ユーザーへの消耗・劣化部品の「交換の必要性」を説明するための資料「故障予防のために定期的な部品交換を」を作成、ユーザーに直接説明する立場である整備事業者に各地区の整備振興会を通じて無料配布した。
◆各地区整備振興会
自動車点検整備推進運動のイベント等において、上記資料を掲示するなどして、自動車ユーザーへ消耗・劣化部品の「交換の必要性」をユーザーに周知した。
◆整備工場
9月〜10月に開催された「自動車点検整備推進強化月間」に、定期点検等で入庫したユーザー(特に低年式車ユーザー)を対象に、上記資料を活用して消耗・劣化部品について説明し、交換の必要性および重要性の周知を図った。
◆トヨタ自動車の取組み
トヨタ自動車も系列販売店において同趣旨の啓発活動を実施した。
まず、低年式車両(10年経過以降)の安全確保などについて、系列販売店を通じてトヨタ車ユーザーにダイレクトメールを送付した。
続いて9月に新聞・雑誌等に長期使用による部品等の摩耗・劣化とその発見のための点検・整備の重要性を喚起する広告を掲載した。
合わせて啓発資料「クルマのトラブル防止アドバイスブック」を作成し、トヨタ車ユーザーに提供し、注意を喚起するとともに点検・整備の重要性を周知した。
このトヨタ自動車が作成した啓発資料は、日整連の要請により各地区整備振興会を通じて一般の整備工場にも提供された。長期保有車のユーザーは整備工場の顧客であることが多いため、整備工場においてもトヨタディーラーと同等の点検・整備啓発活動が行えるよう支援するためである。

今回のキャンペーンは長期保有時代の到来と言う背景の中で実施された初の試みである。
ユーザーの反応については、まだ集計された資料が無いため断定はできないが、概ね好評であったと聞いている。
長期保有車両の場合、やはりユーザーも何となく不安に感じている部分があると思う。必要な整備、必要な部品交換について、適切な情報提供があれば納得するし、安心もできるだろう。
なお、日整連は、09年8月までの約1年間、このキャンペーンを続ける方針だ。終了後も自動車ユーザーへの啓発活動については、引き続き実施するという。
(編集長・白柳孝夫)