06年よりOBD規制導入
ユーロIII規制を導入
自動車の急速な普及による都市部の環境汚染は、中国において大きな問題となっており、政府は欧州方式の排気ガス規制を導入して対処している。
01年6月に発表された自動車工業第10次5カ年計画では、ガソリンエンジンの電子制御化と三元触媒コンバーターの装着を推進すると共に、新型車においては欧州の排気ガス規制値を導入することが決定された。
これにより04年7月より中国全土でユーロII規制が導入された。さらに07年からはユーロIIIを導入、10年にはユーロIVを導入し、世界主要国の排出ガス規制と肩を並べる水準まで引き上げる。
これらの規制強化は主要都市では前倒しに導入されており、06年から主要都市でユーロIII規制が導入され、合わせて自動車メーカーには排出ガス浄化装置の故障を検出するOBD(車載式故障診断システム)の装備が義務付けられている。
使用過程車の排ガス検査が
今後の環境行政の決め手
自動車メーカーの工場出荷時にどんなに排気ガスがクリーンでも、ユーザーがエンジンを改造したり、整備が不十分では、その車両が本来持つ環境性能は維持できない。
また、車両を長期に使用すれば、エンジンを最適に燃焼させるバランスが狂ってくる。プラグやエアフィルターの消耗、各種センサの劣化など様々な原因が考えられる。この結果、エンジンの不完全燃焼により排気ガスが汚れるだけではなく、燃費も悪くなりCO2の発生が増加する。
こうした視点から欧米では安全検査の他に、使用過程車を対象にした排気ガス検査を導入している。ドイツでは、この時にOBDのフォルト(故障)メモリの確認が義務付けられており、故障があれば排ガス検査は通らない。このためスキャンツール(故障診断装置)は整備工場の必需品となっている。
こう見てくると、欧州型の排出ガス規制を導入した中国で、整備工場にスキャンツールの導入を義務付けたのは、極めて自然の流れといえよう。(編集長・白柳孝夫)