世紀の総仕上げと新世紀への方針決定を
いよいよ2000年の年が開ける。この記念すべき年の初めをY2K問題への対応で会社に泊り込みで迎える方も多いだろう。
Y2K問題は年頭の元旦だけではない。年号が初めて7桁になる1月 10日、7桁になる10 月 10日も用心が必要だ。企業の情報部門の担当者は年間を通し、気を緩める事が出来ない年となるだろう。
2000年は 20世紀最後の年である。Y2K問題に止まらず、来るべき 世紀の準備をしなければならない。しかし、その前にやっておかねばならない事は「 20世紀の総仕上げ」である。過去の問題点を洗い出し、新世紀に宿題を残さぬよう今世紀中に改革を断行しようという動きは99 年に入ってから目立つようになってきた。中には大胆に過去のしがらみを断ち切り、新しい原則、新しいパートナーシップを構築した例もある。おそらく2000年を通し、この動きはさらに加速するだろう。
この理由は単に「世紀の変わり目だから」という単純なものではない。21 世紀のビジネスは、従来の延長ではありえない。過去になかったような大きな変革が猛烈なスピードでやってくる。過去からの問題点を多く抱えた体質では、こうした時代に対応できないからである。
それでは来るべき 21世紀のアフターマーケットはどのようになるのか?そして現在の各業態は今後も安定した成長が期待できるのか?現在、多くの業界関係者が、この問い対して懐疑的な回答を出さざるを得なくなっている。
アフターマーケットの商品は物販とサービスがあるが、いずれも壁にぶつかっているからだ。
しかし、分析してみると方向性は見えてくる。現状のアフターマーケット商品は次の3タイプに分けられる。
a、物販だけの商品
b、物販とサービスが融合している 商品
c、サービスが主体の商品
この中でaとcは低迷しているがbは伸びている。
aの調子が悪いのは様々な理由があるが、ユーザーニーズが多様化した中で、従来型の商品群や店舗形態では顧客満足が得られなくなっている事が大きい。
マニア層、順マニア層のニーズに対応するにはターゲットを明確にした専門大型店となるか、小型店でもインターネットを活用してバーチャルショップの品揃えでカバーするしかない。
また、一般ユーザーのニーズへの対応は価格、集客の両面から見ても大型ショッピングセンターなど量販店が有利である。
cはサービスが主体で、その材料として部品やオイルなどを使用する従来型のサービス商品である。車検や定期点検整備、事故車整備がこれにあたる。
もともと物販が目的ではないので、使用材料は出来るだけ削減するか、安く上げようとする。こうした中で車検整備はスリム化して、低価格化が進行しているし、定期点検の実施率はダウンしている。この分野の商品は利益率が高かったが、近年は価格競争が激化して、あまり儲からなくなった。価格のみで競争する限り、この分野は人件費を下げるか、作業を効率化するしか方法が無い。
ただし人件費の削減はサービス品質の低下を招く。よく管理され効率的な工場運営の可能な業者が、この分野でも生き残るだろう。
今後、規制緩和の進展の中で車検、定期点検の簡素化が進むことは 95年の新車両法施行時に方針が出されている。また、板金塗装はITSの本格普及期を迎えれば事故そのものが減少するため、需要の減退は避けられないだろう。
一方、bの領域は今後のメイン商品となる。カーショップなどでも純粋の物販は年々減少しており、取付け交換などサービスを含む商品の販売ボリュームが増えている。
車検整備のスリム化が進んだ現在、ユーザーの日常のメンテナンスに関わるビジネスの領域が拡大している。タイヤ、バッテリー、オイル、消耗部品の交換などクイック整備がアフターマーケットビジネスの中心となるのは確実であろう。
そして、この分野のビジネスがディーラー、整備工場、GSS、カーショップの最重点商品となるのは確実と思われる。
(編集長 白柳孝夫)