B5判 144頁
3,300円(税込)送料別
(2022年11月30日発行)
本書を発行する2022年11月時点では、新型コロナウイルスの感染拡大は依然として続いていますが、全国旅行支援が10月11日から始まり、同時に訪日外国人の入国規制も緩和されるなど、経済効果を向上させるための政策が実施されています。
一方で、コロナ禍にあっても影響が軽微に留まっていた自動車整備事業者の業績が俄かに悪化していることが、日本自動車整備振興会連合会が実施した「整備需要等の動向調査」で明らかになりました。2022年1〜6月の調査結果をみると、総整備売上高DIは−20.1で前期(2021年7〜12月)から6.6ポイント低下しました。調査期間中の車検台数が前年同期比で3.5%減少するなど、入庫台数が減少したことが要因です。
本書は、整備業界の実態を把握するべく、直近の整備事業者の業績の動きを見ながら、損益計算書をひも解いて整備工場の経営状況を分析しました。すると、整備工場の営業赤字比率は前回調査に比べて10.8ポイント増の47.6%と大幅に増加していることが判明しました。ただし、整備要員31人以上の大規模工場の赤字比率が2割以下に留まっているのに対し、整備要員4人以下の小規模工場の赤字比率は6割を超えており、企業規模による業績格差が浮き彫りになりました。
整備工場経営は厳しい状況にありますが、今後も事業を継続していくためには、自動車の高度化に対応していくことが必須です。そのためには「電子制御装置整備」の認証取得が不可欠であり、2022年7月から新型車への搭載が義務化された事故情報記録装置「EDR」と「サイバーセキュリティ対策」の強化に向けた整備対応も欠かすことができません。なぜなら、EDRとサイバーセキュリティ対策は今後の自動運転時代をにらんで、自動車整備のあり方を大きく左右することになると予測されるからです。
新時代の自動車整備は、車載式故障診断装置=OBDの活用が前提になります。OBDから得られるデータを分析し、必要なメンテナンスを実施していく。そのために「OBD点検」が12カ月点検に追加され、2024年10月から「OBD車検」が始まります。
これらへの技術対応を図りつつ、新たな集客や業務の効率化を実現するための「DX」の活用法、さらに少子高齢化の中での整備人材の確保策など、業界を取り巻く課題とその対応策をまとめました。
掲載項目
自動車整備業界の実態<1>
車検台数の減少で総整備売上高が落ち込む
新車の長納期化とコロナ禍で景況感も悪化

自動車整備業界の実態<2>
特定整備施行で整備工場数が増加に転じる
エーミング対応のための認証取得が進む

自動車整備業界の実態<3>
車販×車販、車販×整備・板金、整備×整備
M&Aの波がアフマにも徐々に押し寄せる

自動車整備業界の実態<4>
整備工場の経営状況が悪化し約半数が赤字
中小工場と大規模工場で業績格差が広がる

自動車整備業界の実態<5>
「健全企業」と「欠損企業」の違いはこれだ
赤字脱却の鍵は「生産性向上」と「管理費削減」


電子整備時代の幕開け<1>
電子整備は知識、技術、整備機器が不可欠
スキャンツールとエーミング機器が必須に

電子整備時代の幕開け<2>
「電子制御装置整備」の認証取得工場数は
制度施行2年経過時点で4割以下に留まる

電子整備時代の幕開け<3>
新技術対応で半数の工場が「困っている」
困り事は、設備、人材、研修、整備情報

電子整備時代の幕開け<4>
正しくエーミング作業することを前提に
自社対応、提携、外注の使い分けが重要

車両進化と今後のエーミング予測


自動車整備の新たな潮流<1>
EDR搭載義務付けで事故責任が明確に
整備ミスが事故調査で明らかになる!

自動車整備の新たな潮流<2>
いよいよサイバーセキュリティ対策が強化
OBDへのアクセス制限が現実のものに!?


自動車の高度化への対応<1>
高度化した電動車や自動運転技術搭載車
に関する安全確保策やデータ利活用策

自動車の高度化への対応<2>
車検時の安全性等の確認項目を見直し
「OBD機能」を活用した方法を導入

自動車の高度化への対応<3>
2023年4月=OBD車検システム登録
2023年10月=OBDプレ運用が開始へ

自動車の高度化への対応<4>
「自動車整備士」の資格制度を見直し
時代に合わせ新たな整備士の役割を整理


自動車整備業の「DX」<1>
デジタル時代を生き抜くにはDXが不可欠
デジタルの力で「集客」と「接客」をアップ

自動車整備業の「DX」<2>
「LINEらくらく予約」で車検・点検の
案内から予約までを自動化し効率アップ

自動車整備業の「DX」<3>
カーメンテナンスのインターネット予約
受付サービス「timy」の加盟店が拡大

自動車整備業の「DX」<4>
いよいよ「車検証の電子化」がスタート
行政による「車検DX化」の幕が開ける


整備人材不足への対応<1>
きついイメージのある業種に人は来ない
「人手不足時代」にどう対応すべきか

整備人材不足への対応<2>
若手人材の確保にはSNSの活用が必須
Z世代の採用に向けたSNSの活用方法

整備人材不足への対応<3>
いま改めて注目される「シニア人材」
即戦力+若手の指導役としても期待!

データ室 整備要員の平均給与


自動車整備市場の動向<1>
総整備売上高は1.9%減の5兆5510億円
法定需要は伸長、事故とその他整備は大幅減

自動車整備市場の動向<2>
コロナの影響で車検台数が過去最高に!
車検売上は台数増と単価上昇で5年連続増

自動車整備市場の動向<3>
車検台数シェアで指定工場が過去最高を
更新、認証工場は長期的な低下が続く

自動車整備市場の動向<4>
車検整備単価は6万6778円まで上昇
2年車検は2年連続アップ、1年車検は過去最高に!

自動車整備市場の動向<5>
専業の売上高が6年ぶりに2兆円台を回復
認証は伸び悩むが、指定は3年連続で増加

自動車整備市場「当面の見通し」
中長期的に保有減少により車検も減少へ
人材確保の取り組み強化と人材育成が課題


企業要覧


自動車機械工具データ