B5判 144頁
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(2024年11月29日発行)
自動車整備売上高が堅調に推移しています。2022年度の総整備売上高は5兆9072億円となり、6兆円の大台が見えてきました。特に2022年度は車検整備、定期点検整備、事故整備、その他整備の全作業分野の売上高が増加しました。
これに伴い、整備工場の経営状況も改善しています。2022年度における整備工場の営業赤字比率は2020年度と比べて2.0ポイント改善して45.6%となりました。ただし、指定工場の標準的な人員規模である整備要員5〜10人の「A2工場」の営業利益率は前回調査比1.2ポイント増の1.9%と上昇しましたが、最大の構成比を持つ整備要員4人以下の「A1工場」の営業利益率は−0.6%の赤字であり、小規模工場の経営は改善傾向にはあるものの、依然として厳しい状況にあることが分かりました。
足元の整備需要の動向を見ると、日本自動車整備振興会連合会が1〜6月と7〜12月の半期ごとに調査している総整備売上高DI(「プラス成長」と回答した割合から「マイナス成長」と回答した割合を引いた指数)は2022年7月以降4期連続でプラス圏で推移しており、整備業界の景況感も改善しています。
こうした中で、日本自動車整備商工組合連合会とフォーバルが共同で全国の整備工場経営者を対象に実施したアンケートの結果を見ると、8割以上の経営者が「自動車整備事業を継続したい」と回答していながら、全体の約半数の整備工場は「後継者がいない/決まっていない」ことが分かりました。また、人手不足については7割以上が「不足している」と回答しており、整備人材不足が深刻化しています。すでに整備要員不足で廃業する認証工場や指定整備事業を返納する整備事業者が増加しています。
そのため「自動車整備人材の確保」と題して、各種調査結果から整備士採用の現状と課題、整備士の転職理由を取り上げながら、国土交通省が作成した整備士確保のためのガイドラインを掲載しました。
また、整備人材を確保するためには待遇改善が不可欠なため、「整備要員と板金塗装要員の給与実態」を分析し、整備士の待遇の現状も探りました。
現在、車体整備業界では「指数」と「単価」を巡る動きが急展開を見せています。車体整備(板金塗装)における指数と単価は売上を大きく左右するものであり、その動きには今後も大きな注意を払う必要があります。
本書は、このような整備業界を取り巻く状況を網羅することで、整備事業者がこの厳しい時代を生き抜くための参考となることを目的に編集しました。
掲載項目
自動車整備市場の動向〈1〉
総整備売上高は2.9%増の5兆9072億円
全ての作業分野が増加に転じる!

自動車整備市場の動向〈2〉
新車の長納期化で車検台数は過去最高に
売上高は台数と単価アップで7年連続増

自動車整備市場の動向〈3〉
車検台数シェア「認証工場」は現状維持
「指定工場」は11年連続で過去最高に!

自動車整備市場の動向〈4〉
車検整備単価は6万9585円まで上昇
2年車検は4年連続UP、1年車検は最高

自動車整備市場の動向〈5〉
専業の整備売上が過去10年間の最高に
指定工場は増加するが認証工場は減少

協業・協同組合に活路はあるか
組合数は減少も組合員数は増加に転じる
組合員と車検台数増加に成功する組合も


自動車整備業の経営データ〈1〉
整備工場の4割以上で「赤字経営」が続く
中・大規模工場は堅調も小規模工場は苦戦

自動車整備業の経営データ〈2〉
「健全企業」と「欠損企業」の違いはこれだ
赤字脱却は「生産性向上」と「管理費削減」


自動車整備業界の実態〈1〉
総整備売上高DIは下向きも4期連続の
プラス圏で整備業界の「景況感」は上昇

自動車整備業界の実態〈2〉
特定整備認証で工場数が3年連続で増加
指定工場は廃業と取消で工場数が減少!

自動車整備業界の実態〈3〉
整備工場の市場退出が過去最多のペース
高齢化や後継者不在で更なる増加が懸念

自動車整備業界の実態〈4〉
電子制御装置整備の認証取得数は6割強
認証工場の半数強が未だ未取得の可能性


自動車整備人材の確保〈1〉
整備士の成り手不足で採用難が慢性化
無資格者を育成することの重要性が増す

自動車整備人材の確保〈2〉
応募者が少ない、採用しても期待と違った
採用担当者の75%が採用に課題を感じる

自動車整備人材の確保〈3〉
8割以上の整備士が「転職経験」あり!
転職理由は給与や昇給など賃金への不満

自動車整備人材の確保〈4〉
整備工場で働く4割が「転職」を検討!
7割以上が「給与や待遇」に不満を持つ

自動車整備人材の確保〈5〉
自動車整備士などの働きやすい・働きがい
のある職場づくりに向けたガイドライン


整備・BP要員の給与実態
整備要員と板金・塗装要員の年収が増加
整備要員は466万円、BP要員は454万円

「レバーレート」の見直し
給与アップのためには「原資」が必要
レバーレートの見直しで工賃収入が増加


自動車整備市場「当面の見通し」
「電動車」の保有率向上への技術対応、
人材確保の取組み強化と人材育成が課題

高まる外国人材への期待
整備士不足の中で即戦力として期待される
特定技能2号の合格率は6.4%の超難関


車体整備の指数と単価問題〈1〉
「指数対応単価」が2年連続でアップも
日車協連は団交で大幅な引上げを目指す

車体整備の指数と単価問題〈2〉
金融庁が車体整備業の「工賃単価」を調査
8割が工賃単価は増加も7割は納得できず

車体整備の指数と単価問題〈3〉
車体整備の不適切事案の再発防止に向け
国土交通省が新たなガイドラインを作成

車体整備の指数と単価問題〈4〉
欧州のシステムによる「指数」の新たな波
「ウインカー」で日本の車体整備業を変革

輸入車修理に自動車メーカー工数を使用
適切な修理費算定に向けた動きが活発化


自動車機械工具企業要覧