近年、排気ガス規制、燃費規制の強化、操縦・制御に係わる安全装置の高度化、ITS(高度道路交通システム)の進展等により、自動車の電子制御化が急速に進んでいます。
本書は、こうした高度化、複雑化した自動車を整備する自動車整備士の皆様の「高度整備技術」を支援する目的で、再度前回の活用ガイドの文章・データを増補訂正を施し再編集したものです。
この高度化、複雑化した自動車の整備を補助するため、国土交通省は一部の自動車から車載式故障診断装置(以下OBD:On Board Diagnosis)の装着を義務付けています。 このOBDには、走行中に発生した車両の不具合情報、故障情報が自動的に蓄積されますので、整備工場においては、まずは整備車両に搭載されたOBDにアクセスし、そこから情報を得て、よりスピーディーに故障原因を探求することが可能になります。
このOBDにアクセスして情報を取り出すのが外部故障診断装置(以下:スキャンツール)と呼ばれています。
すでに自動車ディーラーにおいては、自動車メーカーが独自に開発した純正のスキャンツールを活用し、的確に故障箇所の特定を行い整備につなげています。 一方、様々なメーカーの車両が入庫する整備事業者では汎用タイプのスキャンツールが必要です。
わが国においては、整備工場への汎用タイプのスキャンツールの普及が欧米と比較して非常に低い状況ですが、2008年10月からガソリン乗用車等への高度なOBD装着が義務付けられました。よって今後は高度なOBDに対応した汎用タイプのスキャンツールの活用が重要となることは間違いありません。
本書では前半に世界のOBD規制動向、スキャンツールの必要性、整備現場でのスキャンツールによる故障診断法等を解説。後半は、アフターマーケットで幅広く使用されている(株)日立モバイル製の汎用タイプのスキャンツール「ダイアグモニタ(HDM-3000)」の活用ガイドをイラストを多用して、読者に容易に理解されるように配慮し編集いたしました。特に今回の訂正版ではJ-OBDIIの技術基準をより詳しく解説しました。
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